前回は、上場企業の開示資料について解説させていただきました。
それでは、企業はどのようなタイミングで有価証券報告書等を開示するのでしょうか。
企業の主な決算に関する開示のスケジュールはどのようになっているのでしょうか。その辺りについて、今日は見てみましょう。
決算短信、計算書類、有報(四半期報告書)がどのようなタイミングで開示されるかについては、以下の通りです。
決算短信のスケジュール
まず、決算短信ですが、以下の通り決算短信の記載要領に記載があります。
「・ とりわけ、事業年度又は連結会計年度に係る決算については、遅くとも決算期末後45日(45日目 が休日である場合は、翌営業日)以内に内容のとりまとめを行い、その開示を行うことが適当であり、 決算期末後30日以内(期末が月末である場合は、翌月内)の開示が、より望ましいものと考えられ ます。」(決算短信・四半期決算短信 作成要領等より抜粋)
すなわち、45日以内には開示すべきであり、30日以内、つまり決算期末翌月の月内開示が望ましいということです。
計算書類のスケジュール
次に計算書類ですが、招集通知に組み込まれるため、招集通知の発送前に作成が必要です。より細かくいうと、その前には、計算書類については会計監査人(公認会計士や監査法人)の監査、監査役の監査、取締役会の承認が必要になりまので、会計監査人の監査の前に計算書類の提出が必要となります。
招集通知自体は、公開会社の場合、定時株主総会の2週間前までに発送する必要がある(会社法第299条)ため、その時期にはおおやけに開示されることになります。
有価証券報告書(四半期報告書)のスケジュール
それでは、有価証券報告書はいかがでしょうか。
有価証券報告書は前回記載した通り、金融商品取引法に基づき作成が義務づけられています。
有価証券報告書の提出期限は、事業年度終了後、3か月以内に提出が必要です。(金融商品取引法第24条)
また、四半期報告書の提出期限は、有価証券報告書よりも少し短く、各四半期末終了後、45日以内に提出が必要です。(金融商品取引法第24条の4の7第1項)
開示スケジュールまとめ
上記のとおりであり、スケジュールをまとめると、以下の通りとなります。
・四半期末:決算短信(45日以内)→四半期報告書(45日以内)
・年度末:決算短信(45日以内)→計算書類(遅くとも定時株主総会の2週間前)→有価証券報告書(3か月以内)
具体例で見ていきましょう。
開示が比較的早い、日本電産株式会社ですと、以下の通り開示されています。
・四半期末(2019年度第3四半期):
決算短信 2020年1月23日
→四半期報告書 2020年2月13日
・年度末(2018年度)
決算短信 2019年4月23日
→招集通知 2019年5月27日(発送は5月31日)
→有価証券報告書 2019年6月19日
本日は開示スケジュールのまとめでした。皆さまのご参考になれば幸いです。それでは。